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ふり仰ぐ天の深さよ春の雪
車椅子落花を運び戻りけり
薫風や電池換えたる車いす
ぽっぺんが割れ大泣きの遠き日よ
初風呂や介護の視線全身に
七夕竹に一日華やぐデイの部屋
空に鳥地に蝶が舞い夏至暮るる
樟若葉大きな空はそのままに
人見えぬながら春田となって来し
立葵明日の高さを目で測る
あとがき
このたび水煙叢書の一冊として身に余る序文と跋文を頂き、句集「樟」の上梓が叶ったことはこの上もないよろこびである。
乳児期の脳性麻痺の後遺症による四肢不自由。「五体不満足」を個性として成長。学歴ナシ。職歴ナシ。賞罰ナシ。の三行が私の履歴書である。
家での生活が至極あたりまえと思う「文学的蟄居」が後半生に入りかけたころ、ある車椅子のサークルに誘われて、その前向きで行動的な人々に圧倒され、「鎖国」から「開国」へと活動に参加。家族同伴でない旅行を「一人旅事始」と称して、しばらくは「事始シリーズ」とさまざまなことにアタックする一時期があった。
ひとつが、電動車椅子。行動半径と世界が広がり、さらにインターネットの普及が、輪をかけてハンディキャップを補うに足る時代の到来となった。
俳句とのかかわりといえば少年期から乱読した文学全集の中の正岡子規集(一九二八年刊)が今も手元にあって私の「一冊の本」となっているのが遠因かも知れない。
そして「水煙」との出会い。高橋信之先生、高橋正子先生から私の気まぐれな投句に気長で的確なご指導があり、俳句の実作の世界へとお導き頂いた。ここまで育てて下さった両先生、同人各位に感謝申し上げる次第である。
二〇〇九年四月
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